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写真撮って、日記書いてます。

雑芸員として生きること

廃団地

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日本の学芸員を揶揄して雑芸員という言葉がある。要は本来は研究職であるはずなのに、それ以外の用事が多すぎて、欧米のそれに比べると何もできてないことをいう言葉だ。

でも、個人的にだけど、意外とこの言葉好きだったりする。履歴書のPRにも「自称「雑芸員」」と書いてる。ちょっと苦笑いされるけれど。

若いうちは「えーっ」て感じだったよそりゃ確かに。庭掃除とか花の手入れとか、そういうことまでやるの。「それ「学芸員の仕事」じゃないやん」みたいな。ヘタしたら、資料触る時間よりも、そういう雑用の方が多かった気がする。

でも考え方を変えたら「なんでもしなくちゃいけない」=「なんでもできる」なわけで。それに気づいたら、もともと調べることが好きで進んだこの道ということもあって、やっぱり血が騒ぐんだよね。調査とかそういうやつの。だから庭の手入れだったら、いつ頃から庭の文化があるのかとか、植物は何があってどう育てたらいいのかとか、そういう部分を調べたくなるわけ。それが次の何かに繋がってくることもあるから、余計に面白い。

最近はロビーに立って交通整理とかチケットのモギリとか、そういうこともちょこちょこやってるけど、お客さんと直に会話できたりして、最近のお客さんが何を望んでいるのか(ニーズは何か)とか、サインを付けるとしたらどこにするかとか、こういうモノあったら便利だなとか、チケットの値段についてどう感じているのかとか、そういうのがだんだん見えてきたりする。彼女に言わせれば、そういうことをしている学芸員をこれまで見たことがなかったらしく、わたしがロビーに立ってあれこれしている姿が衝撃的だったらしい。そういうもんかなあ。

知人にはそれに加えてPerlとかでプログラム書いてデータベースまで構築しちゃった、とかいう人もいる。もはや何が本職なのか分からない、そういう人もいる。

ただねー結局それって器用貧乏ってやつなんだよね。だいたいが公務員、もしくは公務員系非常勤扱いなので原則副業不可になるからスキルがあってもお金に直結しない。非常勤はだいたいもらえる給与も正規に比べると少ないから、ほんとにね、何やってんのかねーって気持ちになることも多々。それでも学芸員(雑芸員)やってるのって、なんでだろうな。たぶんこの仕事が好き、博物館に関わるのが好きなんだろう。いろんなことを調べたり、誰かにそのことを伝えるのが好きだし、楽しい。わたしの場合だと、たぶんこの一点だろうな。ある意味「やりがい搾取」されている状況。それでいいのかっていわれると、いいわけもなくしかしう~ん

そんなことを考えながら今日もモギリをしている。