Archetype++

写真撮って、日記書いてます。






GXR + GR LENS A12 28mm F2.5、P10 28-300mm F3.5-5.6VC

寒風吹きすさぶ中、大波で船がめちゃくちゃ揺れる中、軍艦島に上陸してきた。ランタンフェスティバル行くんだったらついでに行ってみようかな、という軽いノリである。廃墟マニアではないが、こういうのは一度足を運んでおかなくては気が済まない、そんな人間なのだ。

軍艦島にいくクルージングツアーは数社ほどあるのだが、今回はここのお世話になった。「軍艦島コンシェルジュ」さん。船代と入島料で約4000円。これはたぶんどこの会社も変わらないと思う。ここに決めた理由は、大きめな会社(であろう)と判断したから。あと1人からでも気軽に申し込めてクレカが使えたから。まぁ他の会社も使えたんだろうけど…。ホームページから予約も出来るので、ずいぶん楽である。午前中に行って午後は長崎の町を歩こうと思ってたので午前の部を予約した。

当日。受付カウンターのお姉さんに「今日波が2.5メートルから3メートルあって荒れてるんですけど(酔い止めとか)大丈夫ですか?」と恐ろしいことを告げられる。幸い乗り物系は強いし、船とか海は好きだから「(薬飲んでないけど)大丈夫です!」と元気よく答えて待合室で出発を待つ。ツアーはやはり人気で、お客さんで一杯であった。年齢層は比較的高めだが、若い世代もちらほらいるし外国人観光客も何組か見かけた。彼らと一蓮托生一気呵成一網打尽?船に乗り込み荒れる海原へ。3メートルのうねりは絶対嘘だろ、4メーター以上うねってるぞ左右に45度傾くぞという海原を駆け抜け、どうにか軍艦島へ上陸することが出来た。着くまでガイドの方があれこれ説明してくれるんだけど、それどころじゃなくて、気分が悪くなってしまう方も数名出ていた。
私はというと、椎名誠の『五つの旅の物語』に載せられた話だったか、チリ海軍の軍艦に乗っけてもらってチリの島だったか、へ行くときの話を思い出しながら海を眺めていた。軍艦でないと荒れる海を進めず、しかも波と波の間に飛んだようになってスクリューの空転する音が聞こえるー確かそんな趣旨の話だった。作家が進んだ海はもっと酷かったのだろうか、どの位だったのだろう、そんなことを考えていると酔う暇は無かった。

五つの旅の物語

五つの旅の物語

凪いでいたら「テンプレ的」軍艦島写真が撮れたのであろうが、今回はそれは出来なかった。

上陸しても自由にあちこち散策することは出来ない。定められたルートをまわり、ガイドの説明を聞くのがセオリーである。なので写真集みたいな廃墟へ入ることは出来ず、またそのような写真を撮ることも出来ない。上等のカメラを提げたおじいさん2人が残念そうにしていた。保存処理などの手入れが進めばそのようなことも出来るのかも知れないが、どうなるかは分からない。できれば探検してみたい気持ちもある。今後の動きが気になる。

ここで初めて、軍艦島の岸壁に用いられている石が天草産であることを知った。意外な発見とでも言うべきか。ガイドの方によれば独特の工法で固めてあるので頑強なものができたという。天草のどこ産なのかまでは聞けなかったが、産地は限られているのでだいたいの見当は付く。何より、交流交易があったことがわかっただけでも大きな収穫であった。後日先輩の学芸員とその話をしたところ「○○町の△△さん、そこで暮らしていたらしいよ」と実際に暮らしていた方まで判明したので、これは話を聞かなければ、と思っているところだ。こういうのがわかってくるとぞくぞくする。

昼近くになると海が凪いできて、風も少し止んだ。Twitterのフォロワーさんによれば、午後の方が上陸も穏やかに出来るとのことであった。確かにそうかもしれない。
それから軍艦島コンシェルジュさんは4回乗ると4回目がタダになるポイントカードを配布しているし、帰りの船の中では入島券の末尾3桁での抽選会も開催されるし、で満足のいく内容であった。次回以降、できれば凪いでいる時にまた行きたいものである。

興味のある方は一度行ってみると面白いと思いますのでぜひ。↑これも軍艦島ロケらしいです。